縦列型状態変数型フィルターの回路変換
前回の状態変数型フィルターに関しての解説でスペースが有れば触れたかった内容があります。
技術書でも写真の例のような各段毎に加算器を入れた回路を見ることが多いですが、実験用ならまだしも製品としては無駄が多いです。
この場合は、以下のような回路の「等価変換」がお薦めです。
例えばUA-3Sでは3段、UA-2Sでは4段、状態変数型が連なるため必須のノウハウといえます。

部分拡大図
以下が実際の変換手順です。
元のRq(2.2k)よりQ値を計算
高域通過ゲイン=×1
同調fでのー入力電圧=×1/3(10k⇒10k//10kで分圧)
同調fでのBP(HP,LP)出力電圧
=5k/(Rg+5k)×(Rb+Rq)/Rq
=Q=1.8485
ここで新しいRq値を計算
Rq=Rb/(((Rg/5k)+1)×Q-1)
=2.375k
但しRg=9.090k(10k//100k)
また、上記5kはRh//RL
多段フィルターの場合、同様な方法でRq値を修正すればOKです。
この「等価変換」のひとつのデメリットは各段毎に切り分けた特性確認が出来ないことですが、今は特性のシミュレーションが容易になりましたので、必要なHP、あるいはLP出力のシミュレーション値と比較すれば充分です。
また、ローパスフィルターでは位相が反転しますので注意が必要です。(但し、2段通せば元に戻ります)