「無メッキ銅プラグに至る経緯」 (音が良く意外と強い無メッキ銅!)

デジタルケーブルの開発にあたって各種メッキを掛けた「折り曲げ銅板」と銅棒を組み合わせた簡単なコネクターを作り、メッキ有無とメッキの種類による音の差を比較検討いたしました。
金、銀、ロジウム、プラチナを比較しますと、金は無メッキに近いもののメッキを掛けても良くなることはありません。他の3種はいずれもかなり強いクセを持ち、少しハイ上がりの傾向で、明るさ&メリハリはアップしますが柔らかさ、瑞々しさが失せがちなのが大きな欠点といえます。
そこで一本の銅線とこの途中にコネクターを入れたものを比較すると、無メッキの銅&銅コネクターが最もクセのない素直な音であることが判明しました。(考えてみれば当たり前…)
これらの結果から、今度は基本無メッキの方向で考え直すことに致しました。無メッキのままで使えるか?ということです。

精巧な銅製品を無メッキのまま売り出すというのは非常識と思われがちですが、改めて無メッキ銅の耐候(久)性を探ってみれば意外と”タフ”なことが判明します。
銅製品は室内で使用すれば、5〜10年で多少黒ずむものの酸化膜は1μm前後とごく薄く、同じ銅棒等で軽くこする程度で簡単に地の銅面が見えてきます。(顕微鏡に依る観察で) 
つまり銅製コネクターの場合では多少黒ずんでも1〜2回の抜き挿しで新しい銅面との接触が保たれると推測されます。

また「銅は腐食し易い」イメージがありますが、耐久性は使われる場所、環境に依るようです。
当然、雨水が当たるところでは長くは使えません。また室内使用のケーブル類でも、合成ゴム、塩化ビニール被覆のものは自身が発する化学物質で銅が侵食されるケシールド線_古くなると・・・ースも多く観られます。
弊社で殆ど使用せず長年ストックしておいた高級線材の外装を剥がしてみたらシールドメッシュが緑青だらけの状態でした。(写真上)
新しく購入した電線でも被覆を剥がすと既に多少黒ずんでいるものをしばしば見かけます。(下の写真の下側) 
少し新シールド線?擦れば上の電線のように光ってきますのでとくに問題にはなりませんが、合成樹脂の被覆は殆ど保護作用が無かったり、逆に腐らせたりするので過信は禁物です!
裸の銅線は乾いた空気に曝されている状態の方が安定で僅かずつしか酸化せず、5〜10μm厚で被膜の生成はストップします。
26年の10円玉
もうひとつの例として10円硬貨も参考になります。(5%程は硬度を高めるための亜鉛やスズが混ざっているので純銅ではありませんが)
10円硬貨は1〜2年で変色が始まりますが、その後の耐久性は驚くべきものです。先日、偶然にも財布の中から昭和26年製の10円硬貨を見つけました。無数の人の手に触れ汗が付き、硬貨同士擦れ合った筈ですが逞しいこの姿です!

銅の酸化防止に接点(コンタクト)オイルはどうか?と思われるかもしれませんが、弊社がテストした限りではどのコンタクト・オイルも音を鈍くする方向に働くので、お薦めは出来ません。但し、オイルをほんの僅か付け、できるだけキレイに拭き取るようクリーニングすると新しい銅面が露出して音が良くなることも否めません。(オイルを付けて音が悪くなったので、きれいに拭き取ったら前より良くなった感じがすることが多いので…。逆に普通のミシン油でも充分なようです)
但し純銅は柔らかいものですから、不要にクリーニングはしないことが肝要といえます。本機のアース側端子はバネ性の良い薄銅板であるため、無理な力を加えないようにご注意願います。

(本プラグは銅棒の削りだし、板の切りだしから一個ゝ完全な手造り製品であるため、1個ずつ多少使用感が異なることがあります。また、現時点では弊社製品専用でプラグのみ別売の予定はございません)

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